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【バリスタ向け】スチーミングでミルクをピカピカに作る7つのコツ

 

「スチーミングすると、ミルクが泡だらけになってしまう..」

「スチームミルクの泡が荒いのを改善したい!」

エスプレッソマシンで、もっとなめらかなミルクを作りたい!」

 

そんな方に向けて、当記事では誰にでも出来るスチーミング技術を現役バリスタが紹介します。

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エスプレッソマシンも、ストレーナー、マルゾッコ、デロンギなど...

種類も色々ありますが、チーミングの原理原則は全て同じ

 

本質さえ理解すれば応用可能なので、この記事を読めば必ず改善できます。

 

その原理原則とは、以下の7つのコツから構成されています。 

スチームがスタートしたら、必要な量の泡を冷たいうち(ミルクが35℃に達する前)に作る

必要な分の泡を作ったら、綺麗な回転をキープする

必要な分の泡を作ったら、フィニッシュまでチチチ..という音を一切立てない

 先端のノズルの深さは液面直下をキープする

 ノズルとピッチャーの角度関係にも気を配る(15-30°)

 ミルクが最も甘くなる60℃でフィニッシュ(温度計で確認)

感覚を掴むまで、泡の量をグラスの器で確認する

 

この7つのコツをおさえれば、誰にでもピカピカのミルクが作れるはずです!

それでは、深掘り解説していきましょう!

 

初心者の頃に大苦戦した「ミルクのスチーミング

 

改めまして、tabikuraです。

チーミングの原理原則の説明に入る前に、

少しだけぼくの話をさせてください。

 

ぼくはオーストラリア・メルボルン10ヶ月間のバリスタ経験を経て、

現在はニュージーランドウェリントンのローカルカフェで働いています。 (現在は帰国済)

 

今ではピカピカのミルクを作るのにも自信が持てるようになりましたが、

初心者だった頃は本当に苦労しました。

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ぼくはバリスタ未経験の状態で渡航し、

メルボルンのカフェで初めて"ラテ"を飲みました。

 

メルボルンバリスタスクールに通っていた頃はボソボソのミルクしか作れず、

それが本当に悔しくて、

「スキルを身につけて絶対にカフェで働きたい!」と、

練習しながらワラにもすがる思いでネットでラテアートやミルクスチーミングのコツを暇を見つけては調べました。

 

 

そんなときに出逢ったのが、カフェオーナー兼バリスタトレーナーである小林さんのinstagramです。 

 

そこで紹介されていた小林さんのラテアート理論やミルクスチーミング解説動画は初心者にも理解しやすく紹介されていて、

ぼくの技術を劇的に向上させてくれました。 

 

ご本人に連絡をしたところ、有難いことに動画を掲載する許可をいただけたので、

今回は小林さんのミルクスチーミング動画と解説を引用し、そこにぼくがメルボルンでのカフェ勤務経験から得た見解を加えて、スチーミングに悩む人へシェアしたいと思います。 

 

チーミングの7つのコツ

 

まずはその小林さんのスチーミング解説動画を見てみましょう。

 

 

1. 「さっさと出来上がり量まで空気を入れてしまう」理由は? 

 

まず最初に、ピカピカのスチームドミルクを作るコツは、 

「ミルクが冷たいうちに空気を入れて、必要な分の泡を作ったら、それ以降は絶対に空気を入れない【チチチ..という音を立てない】こと」です。

 

この"ミルクが冷たいうちに空気を入れて〜"の背景には科学的な根拠があり、

ミルクのタンパク質成分が35℃を超えたあたりから硬質化を始めるため、それ以降に空気を入れても泡が細かくなりづらいことが理由としてあります。

 

より詳しい解説についてはこちらの記事が参考になりますので、気になる人はチェックしてみてください(英語)

 

したがって、ぼくも小林さんの解説と同様に、

チーミング開始からミルクの温度が35℃に到達する前(だいたいミルクピッチャーの冷たさを手で感じなくなるタイミング)には空気の導入を終わらせ、

 

それ以降は無音でスチーミングを継続し、乳糖が最も甘く感じられるとされる60℃でフィニッシュするようにしています。 

 

+メモ

 

ぼくはこれまで12軒の多種多様なカフェで勤務してきましたが、特に味にこだわる人気店では、バリスタにはスピードはもちろん、コンスタントなスキルが求められました。

コンスタントなスキルとは、100回作ったら100回ともだいたい同じコーヒーが作れるということです。

 

その初歩として、バリスタ手に伝わる温度実際のミルクの温度の感覚を知る必要が絶対にあるので、

まずはミルク温度計を使ってスチーミングを行い、「これくらいが60℃」がわかるようになるまで、毎回ミルクの温度を測ってみることを強くオススメします。

 

慣れてしまえば、温度計を使わなくても誤差±2℃くらいで狙った温度のミルクが作れるようになります。

 

2. 出来上がり量までカサが上がったら、そのあとは絶対に空気を入れない

欲しいぶんだけ泡を増やしたら、そこからスチーミングが完了するまで、ひたすら撹拌に時間を使います。

 

撹拌に時間を掛けることで、大きい泡はつぶれ、究極にキメの細かいミルクを作ることができます。

 

先述の通り、この工程では、"チッ"という音を絶対に立てない(新たな泡を作らない)ことがポイントです。

 

3. 水面に近いところでスチーミング。深く入れると温度上昇が早くなりミルクが縦の回転になってもったりしてしまう

 

  

ノズルをミルク液面に挿す深さですが、ポイントは深く入れすぎないことです。

液面直下ギリギリをキープすることで、液面に浮かぶ泡も巻き込んで潰せることがその理由です。

 

一方でノズルを深く挿しすぎると、液面の泡が最初から最後まで残ったままになりがちです。

 

【チッと音が鳴るか鳴らないか】の液面直下ギリギリの位置でノズルをキープしつつ、綺麗なトルネード回転を始まりから終わりまで維持しましょう。

 

 

+α ぼくの見解

4. スチーム時のノズル位置はやや右上→やや右下

 

エスプレッソマシンのスチームの強度によりますが、

ぼくは基本的に空気を含ませる(泡を作る)ポジションはやや右上のエリア、攪拌はやや右下のエリアで行うようにしてます。

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(図は攪拌時のノズル位置)

  

最初空気を含ませるにはやや右上がベストなのですが、そのノズル位置を右上でキープし続けると、回転が速くなりすぎててこぼれる原因になったり、大きな渦ができてしまい、その渦に不要な空気が巻き込まれたりしてしまいます。

 

色々試した結果、攪拌はやや右下の位置で行うことで回転が綺麗に落ち着くことがわかりました。

 

(やや右上の位置で空気を入れ→その後やや右下にノズル位置を移し→フィニッシュまでその位置をキープ、というイメージ)

 

5. スチームワンドとピッチャーの角度関係は15-30°がベスト

 

スチームワンドの角度はあまり言及されることがありませんが、重要な要素です。

15-30°の角度を維持することで、トルネード回転が綺麗起こり、スチーム中にはなかなか消えてくれない、ミルク表面に浮かぶ泡が潰しやすくなります。

 

Kai Itakuraさん(@betweeeeenus)がシェアした投稿 -

また、

攪拌時にミルクが暴れてこぼれてしまう!

激しく回転して綺麗な渦ができない!

 

と悩んでいる人も、スチームワンドとピッチャーの角度関係が悪いことが考えられます。

 

図を見てみましょう。

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こちらはスチームワンドに角度がつき過ぎている状態

これだとミルクの回転が速くなりすぎてこぼれやすく、

渦が大きくできすぎて、不要な空気が入りやすいです。

 

ミルク表面の泡もなかなか消えてくれません。

 

次を見てみます。

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こちらは理想な角度。【ピッチャーの注ぎ口の側面から15-30°くらい】

 

この角度でスチーミングをすることで、落ち着いた綺麗なトルネードを最初から終わりまで維持でき、ミルク表面に浮かぶ泡も潰れやすくなります。

 

6. 冷たいミルクを使うことが推奨される理由

よくミルクスチーミングの解説で「冷えたミルクを使う」ことが推奨されていますが、

これは"ミルクは傷みやすいので冷蔵庫で保管しておく"という理由の他に、

そうすることで"攪拌の工程により時間を使える"という理由もあります。

 

・15℃のミルクを60℃にするまでスチーミングする

・5℃のミルクを60℃にするまでスチームする

 

上記2つでは攪拌に掛けることができる時間が違います。

 

より攪拌に長い時間を掛けることができる冷たいミルクを使う方が、

泡のキメが細かい、口当たりの良いミルクを作ることができるようになります。

 

なので、スチーミングの際にはなるべく冷えたミルクを使うようにしましょう。

 

7. 初心者はガラスのコップに注いで泡の量を確認する

また、ミルクピッチャーの中で泡が増えるイメージと、実際に泡がそのイメージ通りに増えているのかを確認するためには、

スチームミルクをガラスのコップに注いでみるのが一番です。

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お店によって異なりますが、

泡の量は、だいたいカプチーノは1.5㎝、ラテは1㎝、フラットホワイトは0.5㎝になるよう、スチームします。

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 イメージ通りに泡の量をコントロールできるようになれば、ガラスのコップは卒業しても大丈夫です:)

 

 

「ポイントのおさらい」、「適正なピッチャー」、「よくある質問」

 

おさらい

チーミングのコツは以上になります。

最後にポイントをもう一度、おさらいしてみましょう。

スチームがスタートしたら、必要な量の泡を冷たいうち(ミルクが35℃に達する前)に作る

必要な分の泡を作ったら、綺麗な回転をキープする

必要な分の泡を作ったら、フィニッシュまでチチチ..という音を一切立てない

❹ 先端のノズルの深さは液面直下をキープする

❺ ノズルとピッチャーの角度関係にも気を配る(15-30°)

❻ ミルクが最も甘くなる60℃でフィニッシュ(温度計で確認)

感覚を掴むまで、泡の量をグラスの器で確認する

以上7つをきちんと守れば、誰にでもピカピカのミルクが作れます。

 

適正サイズのピッチャーについて

また、そもそもの話なんですが、ピッチャーは適正サイズを使っていますか?

 

カップに必要な量に対して、大き過ぎるミルクピッチャーを使ってスチーミングをする

ノズルがミルクの液面に届かなかったり、ミルクが余ったりします。

 

これは本当に良いことないので、適正なサイズのミルクピッチャーは必ず買うようにしましょう!

 

通常サイズであれば、この12ozのピッチャーは"ラテアートがしやすい"とプロも愛用する人が多くオススメです。

ただし手に馴染む・馴染まないあると思うので是非自分でお気に入り見つけてみてください。

 

 

よくある質問

1. ミルクが泡まみれになってしまう

→泡の入れすぎです。チチチチ...の音を意識して減らしましょう(参照)

 

2. 泡があらい

→撹拌が正しくできてません。ノズルの深さに気をつけましょう。ノズルを液面直下にすると表面に浮かぶ泡が渦に巻き込まれて、泡が細かくなります。(参照)

 

3. ミルクがボソボソする

→熱くしすぎです。ミルクは温度が65℃を超えたあたりから、タンパク質の変性が進んで硬くなり、乳糖も分解されるため、ボソボソで甘みのないミルクになります。60℃付近でコントロールできるように温度計を買ってトレーニングしましょう。(参照)

 

 

まとめ

ワーホリ中にバリスタになろうと思ったら、スキルは絶対に必要です。

 

ぼくがそうだったように、日本人の多くは英語のコミュニケーション面でハンデがあるので、艶のあるミルクが作れる、美しいラテアートが描ける、素早くコーヒーを作れる、コーヒーバーの清潔さを維持しながら働けるなど、何か光る自分の武器が絶対に必要になると思います。

 

なので、海外でバリスタを目指す人はまず、このスチーミング技術の習得をしましょう。

ピカピカで口当たりの良いミルクが作ることができれば、お客さんにも喜んでもらえるし、ラテアートも描きやすくなります。

 

また、このたび貴重な解説動画の掲載を許可していただいた小林さんは、埼玉県の川口市B's Caféビーズカフェ・ カジュアルレストラン&スイーツの個人営業をされていて、ラテアートやエスプレッソ抽出理論の教室も定期的に開催されています。

 

美味しいコーヒーとスイーツを求めて、あるいはバリスタスキルアップに足を運んではいかがでしょうか?

 

それでは今日はこのへんで!

 

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