こんにちは、バリスタのtabikuraです。
ワーホリでカフェで働いていると、「自分もバリスタをしたい!」と思っている人がまわりに結構多いことに気づきます。
そんな中で、「最低限の基礎知識がないと、スキルがないと、未経験者はバリスタにはなれない」というのは、よく聞く部分です。
とは言っても、
なぜ基礎がそれほど重要なのか
一体どこからどこまでが基礎なのか
そもそもバリスタの基礎とは何なのか
全然検討もつかない人は多いのではないでしょうか?
少なくとも、ぼくはそうでした。
メルボルンのカフェで初めてバリスタとして雇ってもらえた当初、
なぜオーナーはバリスタとして雇ったはずのぼくをフロアで働かせ続けたのか、
なぜマシンの前に立たせてくれないのか、
なぜ自分の分のコーヒーしか作ってはいけないのか...
自分が何を知るべきで、していいこと/してはいけないことは何なのか。
そういった"基礎"が全然わからなかったので、
周りの素晴らしいバリスタ達に教わったり、
自分で調べて検証してみたりしながら、
時にはお客さんに悪いフィードバックをもらいながら、
たくさんの人に育ててもらって、少しずつ成長してきたと思います。
今では当時オーナーがなぜぼくにコーヒーを作らせなかったのかよく理解できますし、
フロアから学ばせてもらったおかげで、
オールラウンダーとしてどのカフェでも働けるようになったので、
そのことにとても感謝しています。
当記事では、ぼくが初心者だった頃に本当に知りたかった、
未経験者がバリスタになるために知っておくべき"基礎知識/スキル"について、
軽く紹介してみたいと思います。
これがまずは知っておくべきことなんだ!と理解できれば、バリスタ初心者の人は、何か意識が必ず変わるはずですよ:)
基礎とは何か
まず、バリスタの基礎とは何か、という話ですが、
ぼくは、なくてはならない部分、必要不可欠な部分、
その理解がないとサービスに悪影響が出る部分だと考えています。
ぼくが一緒に働くとするなら、
基礎が全然ないバリスタにコーヒーマシンを任せられません。
なぜなら、基礎がないバリスタは、本来なら提供できないようなコーヒーをお客さんに渡してしまう可能性があるからです。
なので、基礎を理解していることはバリスタとして働くうえで必要不可欠な部分であり、カフェのオーナーや同僚、お客さんが求める部分でもあるのです。
バリスタの基礎
仕事に取り組む姿勢/心構え
まず大前提として、バリスタはお客さんを幸せにして生活していること、
1杯のコーヒーを楽しみにしてカフェに来るお客さんがいること、
ここを理解しないといけないとぼくは思います。
"人を幸せにして、その対価として、お金をいただく"
というのはビジネスの基本だと思いますが、
ここを忘れた(もしくは知らない)先にあるのは、妥協か自己満足です。
お客さんがカフェに求めているものが、
コーヒーの味なのか、空間なのか、そこへ行くことで得られる誰かの心のこもったサービスなのか、
人によってニーズはそれぞれ違うはずですが、
ぼくは、この価値観を持っている人とする仕事が本当に好きですし、楽しいです:)
コーヒーの種類と定義を理解している
エスプレッソをベースにしたコーヒーの種類は本当にたくさんあります。
そして、それら全てを理解して初めて、お客さんの欲しいものを提供できます。
同じ名称でも、国や地域やカフェによって、ドリンクの飲まれ方も少しずつ異なるので、まずはこの基本をしっかりおさえましょう!
全て覚えるのは苦労しますが、大変なのは最初だけです。
艶のあるスチームドミルクを作れる
口当たりの悪いボソボソのミルクは、見栄えも悪く、美味しくありません。
理想は、クリーミーで甘いスチームドミルクです。
スチーミングにはコツがあり、練習で誰にでも習得できます。
過去に記事にしているので、参考にしてみてください:)
ミルクの適正温度を理解し、狙った温度のスチームドミルクを作れる
生温かったり、熱すぎたりするするのではなく、
狙った温度のミルクをいつも安定してスチーミングできるスキルも必要です。
ミルク(の成分の乳糖)が最も甘くなる温度は60℃といわれています。
また、地域によってはお客さんの需要が異なり、
熱めのミルク(70℃前後)を通常の提供温度としているカフェもあります。
まずは「これくらいが60℃」がわかるようになるまで、手に伝わる温度と実際のミルクの温度を知る必要があるので、初めのうちは温度計を使うことをオススメします。
コーヒーの種類に応じてミルクのフォームを調整できる
メルボルンで働いていた頃は、カプチーノの泡は1.5cm、ラテは1.0cm、フラットホワイトは0.5cmという風に決まっていました。
"オーダー表を見て、どれだけのミルクと泡の量が必要になるのかを瞬時に判断し、ジャグにミルクを注いでスチーミングに入る"という流れを素早くできるのも、重要なスキルです。
2杯どりができる
1つのジャグで2杯分のミルクをスチームし、それを小さなジャグに分けるスキルは2杯どりと呼ばれます。
ラテ×2, ラテ・カプチーノなどを同時に作るというのは、特に忙しいカフェでは必要不可欠なスキルです。
Zero Milk Wastage and Effecient Pouring
最初は挑戦するのもドキドキしますが、何度も何度も何度も練習する必要があります。
そのうちにスチームドミルクの表面の動きで、フォームの厚みがどれくらいかわかるようになります。
(ぼくが大雑把にフラットホワイトの2杯どりをしている様子です)
レシピの存在を知っている/守れる
美味しい料理がそうであるように、美味しいコーヒーにもレシピがあります。
"何gを使って、何秒で何g抽出するのか"というのがコーヒーレシピの基本的な考え方です。(温度も重要ですが、エスプレッソマシンでは94℃前後から変えることは基本的にはありません)
コーヒーの粉の量、抽出量は、全てスケールで測ります。
エスプレッソのレシピを作れなくてもいいので、定められたレシピがあればそれに従いましょう。
何より大切なことは、いつも通りのお店の味をコンスタントに出せることです。
(正確なレシピがなければお店がやってる方法に従えば良いと思います)
また中級者向けですが、エスプレッソのレシピの作り方が知りたいという方は下の動画が参考になります。
[Barista Hustle]
[James Hoffman]
適切なタンピングができる
タンピングとは、コーヒーの粉をポーターフィルターにぐっと詰める作業のことです。
このぐっが傾くと、エスプレッソの抽出が均等に行われず、狙った味がでなくなります。
水平に、適切な強さで、何よりもコンスタントなタンピング(100回やったら100回ともだいたい同じ結果になる)が求められます。
Extract Everything 003: Espresso Tamping Tutorial
チャネリングを理解している
チャネリングとは、エスプレッソまたはドリップコーヒーの抽出時に起きる現象で、
お湯がコーヒー粉の層を通り抜ける際に、全体から均一に通り抜けず、一箇所の道から大量に通り抜けてしまうことを意味します。
水が大量に通り抜けた道に沿ったエリアのコーヒーのみ過剰抽出されるため、
チャネリングが起きたコーヒーは渋く、酸っぱいので、お客さんに提供できません。
☟チャネリングの様子を動画で確認してみましょう。
厄介なことに、気をつけていても1日の営業中に何度か起きるのがこの現象:(
✔︎エスプレッソが抽出される瞬間に目を配る
✔︎抽出中のエスプレッソの"揺れ"を見る(独特のリズムがあります)
✔︎抽出されたエスプレッソのクレマを確認する
✔︎抽出時間を毎回確認する
これらをしないと、まず見落としてしまいますので、
チャネリングのことは常に頭の片隅に置いておく必要があります。
ちなみにチャネリングはエスプレッソに限らず、ドリップコーヒーでも起きます。
抽出状態/時間を見て、グラインド調整ができる
エスプレッソの抽出時間は、コーヒー豆のエイジング度合い、タンピングの力やセットしたコーヒーのグラム数、または豆自体の温度にも大きく影響され、気にしなければ抽出時間はどんどん変化していきます。
抽出時間は、エスプレッソの味に影響を及ぼします。
Espresso Fundamentals | Grind & Extraction
これだ!と決めた味をコンスタントに提供するには抽出時間を守ることも大切な要素の1つなので、
抽出時間が狙ったところから外れてしまったときに、それを元に戻すスキル(グライド調整)が必要です。
まとめ
以上が、ぼくが思う"バリスタの基礎"です。
これらを理解し、スキルや知識を身に付けることができれば、
あなたを必要としてくれるカフェは必ずあると思います。
ただし、知識を付けるだけではなく、ぜひ実際に検証をしてみて下さい。
自分の経験に基づいていない知識は、薄っぺらいものです。
知識があっても本当に理解していない(自分の経験に基づいていない)と、
それは妥協やただの自己満足に繋がります。
また、エスプレッソの知識を蓄えるにはYoutubeの動画をみたり、英語で検索して英文の記事を読むことをオススメします。
バリスタ同士で情報交換をするための英語の勉強にもなりますし、エスプレッソに関する優良な情報は英語のほうがたくさん見つかりますよ:)!!
! こちらウェブサイト「Barista Hussle」は世界中のバリスタの教科書的な存在です。
科学的な観点から、コーヒーの様々な側面に触れています。あなたがバリスタで、レベルアップを狙うなら一読の価値ありです。
✔︎「経験0」から海外でバリスタになるために準備したコトを紹介しています
この記事を読めば何が必要なのかがわかります。
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