オーストラリアとニュージーランドでバリスタをしていたtabikura(@tabikuralog)です。
今回はカフェのインタビュー記事です。
ニュージーランドのコーヒー文化はエスプレッソが主流で、コーヒーといえば「フラットホワイト」と答える人も少なくありません。
そんな国ニュージーランドで、エスプレッソマシンを置かず、ドリップコーヒーのみで勝負している国内唯一のカフェが、首都ウェリントンにあります。
多くのカフェでは提供スピードが重視されるウェリントンの街で、"スローコーヒー"を提供する彼らは何者で、彼らの大切にする「過程」とは何なのか?
その素顔と哲学に迫ります。
- まずは軽く自己紹介お願いします!
- コーヒーはどうやってハマったの?
- カフェのコンセプトは何?
- コーヒーといえばフラットホワイトのこの街で、“ドリップコーヒー”に注目したきっかけってあったの?
- それにしてもドリップコーヒーを$5で提供するのは安すぎない?
- ドリップコーヒー以外にも何かやってるの?
- Pour and Twistの情報
まずは軽く自己紹介お願いします!
生まれも育ちもウェリントンっ子。
ルーツはマレーシア。グラフィックデザイナーやってたよ。
Zuyi(ズイ)
出身はマレーシアで、5年前にウェリントンに移ったよ。元シェフ。今はコーヒー淹れてるよ。
コーヒーはどうやってハマったの?
コーヒーは4年前くらいにハマったかな。でもあのときはコーヒーが好きというか、ただカフェ巡りしてただけだったよね。
それで、初めてドリップコーヒーを飲んだのがCustoms(*Wellingtonの人気カフェ)だったよね?まだ彼らがケメックスやV60でコーヒー提供してた頃。
そうそう。ある日Customsのバリスタがケメックスでドリップコーヒーを淹れているのを見て、『あれはなんだろう』って、すごく気にになってさ、注文してみたんだよ。
2人分で$7だったかな、ブラジルの豆のコーヒー。
飲んだ瞬間『わー!こりゃ味がフラットホワイトとは全然違う!』って、もう感動しちゃって。
そこからずっとドリップコーヒーは好きなんだよ。
お店がオープンしたのはいつ?
Pour and Twistは、2017年7月にスタートしたよ。
最初は映画館のフードコートで"お試し"でオープンしてたんだよ。
施設のルールに従わなくちゃいけなかったから、6ヶ月間10-20時まで休みなしで働いてたの。
でもそこでは週末とか映画の話題作がでたとき以外はすごく暇だったかな。
そしたらある日、お客さんが『空き物件あったよ』って教えてくれて。
で、チェックしてみたらそこがすごく良い場所だったから、移ることに決めたの。
それが今のカフェだよ。
ここは元々車の作業所だったから、改装作業を全部自分たちでして、2018年3月にスタートしたの。
ほら、入り口にもわたしのペンキの足跡あるでしょ。笑
カフェのコンセプトは何?
『過程』を楽しんでもらいたいっていうのは、すごくあるの。
例えば、お寿司屋さんへ行ったらさ、カウンターでマスターが注文とって、お寿司を握って、提供してくれるでしょ?
あれって、その"過程"が目の前で見れるから、良かったりするんだよね。
それと同じで、カウンターでコーヒー豆を選ぶところから、抽出、提供の、"コーヒーがテーブルにやってくるまでの過程"を含めて、楽しんでほしいっていう想いは強くあるよ。
ウェリントンでドリップコーヒーって結構飲まれるけど、ほとんどがバッチブリュー(*コーヒーマシンで作った作り置きのもの)なんだよね。
注文したらすぐに出てくるけど、抽出過程がすっ飛ばされちゃってて、そこを知らない人がすごく多い。
過程を知るべきだとか、マシンで自動的に作るコーヒーが悪いってわけではないんだよ。
でも、お客さんの前でマスターが魚をさばくのを見れるように、その1杯を淹れる過程をお客さんとも共有したいよね。
ちなみに、おれは映画を観るときも未だにVHSだし、音楽もカセットテープとかレコードで聴くんだよ。
手間を楽しみたいし、やっぱり"アナログの良さ"っていうのがあるんだよね。
全部繋がってるでしょ?笑
コーヒーといえばフラットホワイトのこの街で、“ドリップコーヒー”に注目したきっかけってあったの?
うん、間違いなくあったよ。
4年前にウェリントンでドリップコーヒーにハマりだした後、仕事の都合で1年半クイーンズタウンに移ったんだよね。
で、それからまたウェリントンに帰ってきて本当にビックリした。
昔は色んなカフェでドリップコーヒーをやってたのに、どこのカフェもみーんなドリップコーヒーをやらなくなってたから。
そのとき私たちは「誰かのために働くのはやめて、自分たちで何かビジネスを始めよう」って決めてたし、ウェリントンのコーヒー市場に”空き”があるのはわかっていたし、私たちドリップコーヒーが大好きだし。
『じゃあ自分たちで、そこを埋めよう』ってことになったの。
そうそう。だからエスプレッソマシンは『置かない』って最初から決めてたかな。
だって、それをやっちゃうとただの新しいカフェになるだろうし、NZはエスプレッソの文化だから、それがある限りドリップコーヒーはどうしたってメニューの二番手になっちゃう。
だから、ここではドリップコーヒーを主役にしてるんだよ。
なかにはメニューを見て、フラットホワイトやカプチーノがなくて帰っちゃう人もいるけど、どんどんお客さんは増えている実感があるよ。
それにしてもドリップコーヒーを$5で提供するのは安すぎない?
お客さんにもっと気軽にドリップコーヒーを楽しんでもらいたいという想いもあって、この価格設定にしてるよ。
ドリップコーヒーを一杯$8で提供しているカフェを時々見たことあるんだけど、個人的にはやっぱり”高い”って思っちゃう。
『もし、美味しくなかったらどうしよう..』っていうハードルの高さもあるしね。
それに、NZの色んなロースターと関係を築けたから、様々な国の豆を違うロースターから仕入れてるよ!
お客さんには気軽にドリップコーヒーにトライしてもらいたいかな。
ドリップコーヒー以外にも何かやってるの?
やってるよ!
私たちのオリジナルドリンクもすごく人気で、普段コーヒー飲まない人にはオススメだし、本当に気軽に来てほしいな。
Butterfly Watermelon Soda
Orange Choffee
オレンジの皮をドリッパーとして使ってコーヒーを抽出し、それをチョコレートで割ったオリジナルドリンク。
Pour and Twistの情報
彼らの店へ行くと、NZのローカルコーヒーロースターの豆選びから始まり、抽出方法も選べます。(V60, エアロプレス、ケメックス、サイフォンなど)
コーヒーのことがよくわからなければ、「What do you recommend?(オススメは?)」と尋ねて、自分の飲みたいものを探すところから始めるといいと思います。
とても親切に教えてくれるはずです:)
彼らの追求する「Clean Cup(雑味の少ないコーヒー)」を楽しみたければ、V60での抽出をお願いするといいかもしれません。
また、小さなスイーツもありますが、朝食・ランチの提供はしていないので、近くのレストランで食事を済ませてから行くことをオススメします。
営業時間
【平日】8-17:30
【土日】8:30-17:00
【定休日】火曜日
その他、ウェリントンのコーヒー文化について書いた記事もあります。
オーストラリア・メルボルンとの違いがよくわかります。
Twitter(@tabikuralog)でも時々コーヒーや英語のことをつぶやいてます。