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消防士を3年で退職。28歳オトコの世界一周を目指すブログ。英語が世界一周の価値を高めると信じ、ワーホリしながら英語習得中。

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元救急隊員が教える、救急車が適正利用されるために、みんなが知っておいたほうが良い3つのこと

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救急車の適正利用について書いてみたいと思う。

 

ぼくは1年前までは消防士をやっていて、拝命を受けた3年間のうち、2年間は救急隊員として働いていた。

消防署で24時間勤務をし、救急車に乗って、1811件の救急出動を経験した。

 

たったの2年間だったけれど、そんな希有な経験をしたぼくだからこそ、伝えられることもあるのではないかと退職以降ずっと思っていたので、今回は思い切ってこのトピックを選ぶことにした。

 

 

不適切な救急車の利用が減り、本当に必要な人のところへ救急車がより早く到着できるようになることを願う。 

 

 

 

そもそも、なぜ"不急の救急出動"が起きるのか

 

 

 

救急車の出動件数の増加、不急の救急要請の割合が半数超え、救急車有料化の是非...

 

毎年毎年"救急搬送"に関する様々な問題点が取り上げられているけれど、そもそもなぜ"不急の救急出動"がそんなにたくさん起きているのか。

 

この点に関して語られることはあまりない気がするので、そこからまず考えてみたい。

 

 

料理中に指切っちゃって..と笑いながら救急車に乗り込むお母さん

お腹が張ってるんだよね..と便が3日出ていないと訴える中年のおじさん

転んで膝擦りむいちゃったみたいで...と子どもを救急車に載せるお父さん

 

 

ぼくが経験した2年間では、こういった緊急性の低い救急事案が発生することは珍しくなかったのだが、

 

それらを引き起こしている一番の要因は何かと考えたときに、ぼくがズバリ思うことは、

 

そもそも、なぜ救急車を気軽に呼ぶべきではないのか、その理由をみんなよく知らないのではないか?

 

ということだ。 

 

 

 

したがって、不急の救急出動を減らすためには、"救急車が適正利用されるべき理由"が明確に提示されて、その認識がもっと広く共有される必要があるのではないかとぼくは思う。

 

 

救急車有料化の是非についての議論がなされる前に、国は"救急車の適正利用"についての教育・広報にもっともっと力を入れるべきなんじゃないの?と感じる。

 

 

↓こういう啓発動画もあるけれど、普通に生活をしていて見たことがないし、適正利用をしないとどうマズいのかが伝わりにくい。


救急車の適正利用の啓発①

  

 

 

前置きはこれくらいにしておいて、 さっそく本題に入りたい。

 

 

 

救急車が適正利用されるために、みんなが知っておいたほうが良い3つのこと

 

今回ぼくが伝えたいことは、

 

1. 救急車には限りがあること

2. 1分の遅れで生死が決まる人がいること

3. どうしていいか分からないときは救急相談窓口(電話)があること

 

 

の3つだ。

どれも大切なことなので、1つずつ見ていってもらいたい。 

 

 

1. 救急車には限りがあること 

 

まず、救急車には限りがあるということをよく理解しなくてはいけない。

呼べば呼んだ数だけ来てくれるというものではない。

 

どういう風になっているかというと、基本的に救急車[消防署]は、町のあらゆるエリアへ急行できるよう、塾考された配置がなされ、点在している。

  

ここに、簡単な図を書いてみた。

図のA市には消防署が3署あり、救急車が3台保有されている。

 

これら3台の出動態勢が整っていれば、図の中のどのエリアで救急要請があっても、7分以内に現場到着できるものとする。

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ある日、"料理をしていたら小指を包丁で少し切ってしまった"という救急通報が入り、

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指令を受けた最寄りの救急車Aが救急出動する。

また同時刻に"風邪をひいて熱があってだるい"という救急通報を受け、救急車Cがその現場へ向かう。 

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A市が保有している2/3の救急車が出動している同時刻、さらに救急要請が入る。

通報内容は、「テレビを見ていたら突然母親が胸を押さえて倒れた。声を掛けても返事をしない。息もしていないようだ。普段は高血圧の薬を服用している。」というもの。

 

突発性の心疾患が疑われ、より早い救命措置が求められる、1分1秒を争う事案だ。

 

しかし、最寄りの救急車C、その次に近い救急車Aも出動中なので、現場から最も遠い位置に配置されている救急車Bが現場へ向かうことになる。

本来なら7分以内に現場へ到着できるはずが、現場到着まで10分以上はかかってしまう。

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こういうことが、日本のどこかで、実際に起きている。

 

 

そして最悪なのは、この状況で更に緊急性の高い救急事案が発生しても、その現場へ駆けつける救急車がないことである。

 

こんな風に、市が保有する救急車が全て出動することは、ぼくが働いていた消防組織では"全車出動"と呼ばれていたが、決して珍しいことではなかった。

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これが、救急車には限りがあるということである。

 

 

 

 

 

2. 1分の遅れで生死が決まる人がいること

 

 

次に、たった1分という短い時間が、救急活動下においては人の人生を決める重大な時間になり得ることを説明したい。

 

下の図は"ドリンカーの生存曲線"と呼ばれるもので、"呼吸停止"から、救命措置を開始するまでの時間によって変化する"蘇生率"を表している。

 

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[救急救命講習会にゆく :うとるの空さんのブログから引用]

 

呼吸停止から2分以内に救命措置を開始すれば生存率は90%であるのに対し、10分間何もされなかった場合の救命率は限りなく0%である。

 

つまり、"何もなされなければ、1分間に10%ずつ生存確率は低下していく"ということになるのだが、これは本当に恐ろしいことだと思う。

 

たった1分間で1人の人間の人生が終わるかどうかが決まるのだ。

 

そして、その1人の人間とは、もしかすると、あなたの大切な家族、恋人、友人かもしれないし、あなた自身かもしれない。

 

 

さらに、救急隊が現場へなるべく早く到着したいその1分1秒は、不急な救急出動によってどんどん伸びているのである。

 

 

 

 

3.  どうしていいかわからないときの救急相談窓口(電話)があること

 

そうはいっても、あとで何かあったら恐いから、手遅れになったら困るから、救急車で..という気持ちも、よく分かる。

 

結果的に軽症[入院の必要がない状態]だったけれど、119をしたときは本当に救急車が必要だと思った。という人は沢山いるのだろう。

結果だけを見て、その決断が間違いだったなんて言うのは難しい話だ。

 

そこで、119をするその前に、少し考える時間や余裕があるのなら、救急相談センターという電話相談サービスを利用する手段もあることを紹介したい。

 

急な病気や怪我をして「救急車を呼んだほうがいいのか」「すぐに病院へ行くほうがいいのか」迷ったときの相談窓口として利用できる。

  

東京都では、#7119で相談窓口に繋がるようだ。

 

 

この救急相談サービスはどんどん全国に広がっているものの、#7119で全国統一されているわけではないので、自分の住んでいる地域の番号を調べて控えておくと、いざというときにすぐに連絡ができて良いと思う。

fdoc.jp

 

 

 

また、以下のような症状がでたときは、ためらわずに救急車を呼ばなければならないことも覚えておこう。

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[https://www.fdma.go.jp/html/life/kyuukyuusya_manual/pdf/2011/japanese.pdfから引用]

 

 

もし緊急ではないと判断できたなら、自家用車やタクシーで病院へ向かい、救急車は緊急性の高い人のために空けておこう。

 

 

 

最後に

 

 

 

"2"でドリンカーの生存曲線について触れたが、もう一度見て欲しい。

 

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救急車が現場に到着する全国平均時間は約7-8分で、グラフ上のその時間を確認すると、蘇生率は限りなく0%に近づいていることがわかる。

  

つまり、このグラフが示しているのは、救急車を呼ぶだけでは心肺停止状態になった人が助かるとは言えず、その人の生死が決まるのは、そのとき近くにいた人の救命措置に依存するということなのである。

 

 

したがって最後に、ぼくはこの記事を読んでくれている方に救急講習を受けることを強くオススメしたい。

 

救命講習は、あなたが住んでいる地域の消防署で、誰でも無料で受けることができる。

個人での受講も、団体での受講も受け付けている。

  

あなたがその講習を受けたことで、今後救える命があるかもしれない。

是非時間を見つけて、救急講習を受けに行ってほしいと思う。

 

 

 

長くなってしまったが、以上だ。

 

 

 

ぼくの書いたことが誰かの意識を少しでも変えることができたなら、とても嬉しい。

 

それでは今日はこのへんで。

 

 

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