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元救急隊員が教える、救急車が適正利用されるために、みんなが知っておいたほうが良い3つのこと

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「..もしもし!お父さんが胸を押さえて倒れました!救急車お願いします!」 

「現在、全ての救急車が出払っていて、そちらに今すぐ向かえる車両がありません」

 

 

こんな状況が実際に起きたら、どうしますか?

 

 

こんにちは。元救急隊員のtabikuraです。 

ぼくは過去に2年間の救急隊員としての職務経験があり、1811件の救急出動を経験しました。

 

この記事では

✔︎明らかに緊急性の低い症状・ケガで救急車を利用すべきではない理由

✔︎迷ったときの救急相談窓口の存在

 

について書いています。

 

 

"子どもが転んで膝を擦りむいた"というような内容で救急車が利用されている同時刻には、

心臓が止まってしまい、すぐに救急車を必要としている人とその家族がいるかもしれません。

 

不適切な救急車の利用が減り、本当に必要な人のところへ救急車がより早く到着できるようになることを願って、 救急搬送の現状と、知られてほしいことを書きます。

 

 

"不適切な救急出動"が起きる理由は「気軽に救急車を呼んではいけない理由」を知らない人が多いから?

 

救急車の出動件数の増加、不急の救急要請の割合が半数超え、救急車有料化の是非...

 

最近は"救急搬送"に関する様々な問題点が取り上げられていますが、そもそもなぜ"不適切な救急出動"がそんなにたくさん起きるのでしょうか?

 

みなさんなぜだと思いますか?

 

ぼくは、緊急性がとても低い事案で救急車を呼ぶべきではない理由が、そもそも知られていないことが主な原因だと思います。

 

・料理中に指切っちゃって..と笑いながら救急車に乗り込むお母さん

・お腹が張ってるんだよね..と便が3日出ていないと訴える中年のおじさん

・転んで膝擦りむいちゃったみたいで...と子どもを救急車に載せるお父さん

 

ぼくが経験した2年間では、こういった緊急性がとても低い救急事案が発生することは全く珍しくなかったのですが、こういった傷病者の方々はなぜ緊急性の低い事案で救急車を呼んだらいけないのか、おそらく理解していません。

 

では、なぜ緊急性がとても低い事案で救急車の利用を避けるべきなのでしょうか?

 

次の項で詳しくお話します。

 

 

1. 救急車が利用されると、出動可能台数が減り、現場到着が遅れる原因となり、緊急を要する傷病者の死亡リスクが上がるという現実

 

緊急性がとても低い事案で救急車を利用すべきでない理由ですが、

 

一言で述べると、"救急車には限りがあるから"になります。

 

もっと掘り下げていうと、

 

限りある救急車が忙しくなることで、現場到着の遅れを招き、緊急を要する傷病者への接触が遅くなり、傷病者の死亡リスクが上がる

 

ということになります。

 

どういう風になっているのか、絵で説明してみます。

 

基本的に救急車[消防署]は、町のあらゆるエリアへ急行できるよう、塾考された配置がなされ、点在しています。

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例えば、この絵の街の救急車でいうと、どの場所からでも電話してからだいたい7分くらいで来てくれます。 

 

ある日、"料理をしていたら小指を包丁で少し切ってしまった"という救急通報が入りました。

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指令を受けた最寄りの救急車Aが救急出動します。

それと同時刻に"風邪をひいて熱があってだるい"という救急通報を受け、救急車Cがその現場へ向かいます。 

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この街にある3台中の2台の救急車が出動している間に、さらに救急要請が入りました。

 

通報内容は、"テレビを見ていたら突然母親が胸を押さえて倒れた。声を掛けても返事をしない。息もしていない。普段は高血圧の薬を服用している。"というものです。

 

通報内容から突発性の心疾患が疑われ、より早い救命措置が求められる、1分1秒を争う事案であることが予想できます。

 

しかし、最寄りの救急車C、その次に近い救急車Aも出動中です。

 

すると、現場から最も遠い位置に配置されている救急車Bが現場へ向かうことになります。

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本来なら7分以内に現場へ到着できるはずが、現場到着まで10分以上はかかってしまいます。

到着時間が長引くほど、この傷病者の方の死亡リスクはグンと上がります。

 

こういうことが、日本のどこかで実際に起きています。

 

 

さらに、ここから考えられる最悪なパターンは、この状況で更に緊急性の高い救急事案が発生しても、その現場へ駆けつける救急車がないことです。

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こんな風に、市が保有する救急車が全て出動することは、ぼくが働いていた消防組織では"全車出動"と呼ばれていましたが、決して珍しいことではありませんでした。

 

これが、救急車には限りがあり、緊急性のない事案で救急車は利用されるべきではないということの意味です。

 

 

2. 1分の遅れで生死が決まる人がいる

 

先ほど、救急車の到着時間が長引くほど死亡リスクが上がると述べましたが、

たった1分という短い時間が、救急活動下においては人の人生を決める重大な時間になり得ることを説明します。

 

下の図は"ドリンカーの生存曲線"と呼ばれるもので、"呼吸停止"から、救命措置を開始するまでの時間によって変化する"蘇生率"を表しています。

 

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[救急救命講習会にゆく :うとるの空さんのブログから引用]

 

呼吸停止から2分以内に救命措置を開始すれば生存率は90%であるのに対し、10分間何もされなかった場合の救命率は限りなく0%であることがわかります。

 

つまり、"何もなされなければ、1分間に10%ずつ生存確率は低下していく"ということになります。

 

たった1分間で1人の人間の人生が終わるかどうかが決まるというのは、本当に恐ろしいことです。

そして、その1人の人間とは、もしかすると、自分の大切な家族、恋人、友人かもしれないし、自分自身かもしれません。

 

 

そんな救急隊が現場へなるべく早く到着したいその1分1秒は、不急な救急出動によってどんどん伸びています

 

 

3. どうしていいかわからないときの救急相談窓口(電話)がある

 

そうはいっても、「あとで何かあったら恐い」「手遅れになったら困るから、救急車で..」という気持ちも、よく分かります。

 

結果的に入院もせずすぐに帰れるようなケガだったけれど、119をしたときは本当に救急車が必要だと思った。という人は沢山います。

 

結果だけを見て、その決断が間違いだったなんて言うのは難しい話です。

これは救急隊員も理解しています。

 

そこで、119をするその前に、少し考える時間や余裕があるのなら、救急相談センターという電話相談サービスを利用する手段もあることを紹介させてください。

 

急な病気や怪我をして「救急車を呼んだほうがいいのか」「すぐに病院へ行くほうがいいのか」迷ったときの相談窓口として利用できます。

  

東京都では、#7119で相談窓口に繋がります。

 

この救急相談サービスはどんどん全国に広がっているものの、#7119で全国統一されているわけではないので、自分の住んでいる地域の番号を調べて控えておくと、いざというときにすぐに連絡ができて良いと思います。

 

忘れる前に是非、確認しておいて下さい。

fdoc.jp

 

  

また、以下のような症状がでたときは、ためらわずに救急車を呼ばなければならないことも覚えておきましょう。

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[https://www.fdma.go.jp/html/life/kyuukyuusya_manual/pdf/2011/japanese.pdfから引用]

 

 

もし緊急を要さないと判断できたなら、自家用車やタクシーで病院へ向かい、救急車は緊急性の高い人のために空けておきましょう。

 

 

最後に

 

不適切な救急車の利用増加に伴い、救急車有料化の是非についての議論があるようですが、ぼくはまず適切な広報がなされることが先だと思います。

 

「適切な救急車の利用を守ることが、結果的に自分のまわりの大切な人たちを守ることに繋がる」ということがもっと知られてほしいです。

 

 

今日は以上です。 

 

 

今は海外でコーヒーを淹れてます。
 

 

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