こんにちは、tabikura( @tabikuralog)です。
消防士を退職後、オーストリアとニュージーランドでバリスタ修行をして帰国し、
じつは先日、自分の結婚式がありました!
コロナが流行するずっと前に準備を始めたものの、
感染拡大により二度の延期を余儀なくされ、
開催まで1年と6ヶ月も掛かってしまいましたが、
我慢して我慢して、
やっとの開催でした。
食べることが大好きな私たち夫婦なので、レストランで披露宴を挙げたのですが、
ぼくはバリスタですし、最後のコーヒータイムまで楽しんでもらいたいということで、
デザートのタイミングでは自分が淹れたコーヒーをゲストに提供しました。
60名分です。
このコーヒーがとっても好評だったのですが、
60名分の大量のコーヒーを、しかも一度に、限られた短い時間で抽出することもなかなかない経験だったので、備忘録がてら書いてみます。
大量抽出の課題
まず、自分で淹れたコーヒーをゲストに提供すると決まった時点で、
課題が大きく3つありました。
課題その1: 大量に作れるのか?
式場が用意してくださるカップに合わせて、
1人60ml用意するとしても、60ml × 60名分 = 3.6ℓが必要。
課題その2 : 短時間で作れるのか?
披露宴が進行していくなかで、コーヒーを準備できる時間が、ドレスの着替えで裏へ下がるタイミング(15分間)しかない。
15分で3.6ℓのコーヒーを用意できるのか。
課題その3 : 美味しく作れるのか?
そもそも、大量に作ったコーヒーは美味しいのか。
量 × 時間 × 質 ...
これらの現実的な壁にぶち当たったときに、
「バッチブリューのような、自動で大量にコーヒーを作れるマシンを使おうか..」
そんなスケベ根性が思わず顔を出しかけましたが、
しかし、それではやる意味が全然ないように思えたので、
あくまで自分で淹れることにこだわろうと思いました。
提供するコーヒー
まずゲストに提供するコーヒーですが、
京都にあるコーヒー屋さん、
STYLE COFFEEさんの浅煎りのコーヒーに決めました。
決めた理由としては、 STYLEさんのコーヒーをお店で初めて飲んだときに、
コーヒーの果実味と酸味、甘味、風味が舌をまとい、
美味しい!と思わず声に出してしまうほど良い意味でエッジの効いたコーヒーだったことと、
その味わいから、ぼくが住んでいたオーストラリア・メルボルンの活気あるカフェの情景がよみがってくるような感動体験をしたことからでした。
しかしながら、恐らくゲストの大半は浅煎りのコーヒーに馴染みがないはずなので、
このバキバキに決まった浅煎りのコーヒーの素晴らしさをぼくがきちんと伝えられるのか、多少の不安がありましたが、
コーヒーの特徴やそれを選んだ背景も一緒にストーリーとして説明できれば、
きっとゲストにも楽しんでもらえる、
という想いでSTYLE COFFEEさんに決めさせていただきました。
量と時間を同時に解決できる抽出方法とは?
ゲストに提供するコーヒーは決まりましたが、次はどのように淹れるかが問題です。
15分間という限られた時間では、手間が掛かるハンドドリップは × です。
ならばフレンチプレスのような手法で淹れるしかないな、と思いました。
フレンチプレスでの抽出とは、
コーヒー豆を挽いた後にお湯に浸して、抽出する方法です。
急須でお茶を淹れるような、非常にシンプルな抽出方法です。
どのフレンチプレスの器具がいいかな、と調べていると、
2017年ワールドバリスタチャンピオンのJames Hoffman氏が、
「IKEAのフレンチプレス(1ℓ容量)はなかなかイイよ」と彼のYouTube動画で紹介していたのを見たので、最初はこれを5個くらい購入しようかと考えました。
しかし
「いやまてよ。5個同時に扱うのはどうなんだろう。もっとシンプルな抽出方法はないものか..」と悩み、
コーヒーを提供してくれることになっていたSTYLE COFFEEさんの店主、
黒須さんに相談していたところ、
「やかんに淹れて一気に抽出しちゃえばいいんじゃないですか?」とポツリ。
なるほど、確かに、大容量のやかんで一度に抽出してしまえば量・時間の課題は同時にクリアできる...
その手はアリだな!と視界が一気にクリアになり、
黒須さんに感謝しつつ、Amazonで6ℓ容量のやかんをその日にポチりました。
液体の粉っぽさ問題を解決するには
さて、やかんが届きました。
さっそく、やかんでお湯を温め、そこへ直接コーヒー粉を放りこみ、かき混ぜて4分間待ちます。
時間がきたら再度混ぜて、
粉を茶漉しで濾して、試飲。
「...おおッ!?」
味は悪くない、というか、むしろ美味しい。
これはいけるぞ!と心が躍りました。
しかし、良くない部分もありました。
微粉が茶漉しをすり抜けるのでしょう、
口にする液体の粉っぽさが気になるのです。
それに茶漉しの網目に粉が詰まって、濾すのにとてつもなく時間が掛かる。
何度も試行錯誤して考えた末に、プラスチックのドリッパーに紙をセットし、
そこへ抽出液を注ぎ入れて、粉を濾す方法を試してみました。
このアイデアが正解だったようで、
とうとう10分以内に抽出工程が完了し、
味もクリアで美味しいコーヒーを淹れることができました。
本番でのオペレーション
やかん抽出のレシピが決まったことで、いよいよ残すは本番です。
準備したもの
・IHヒーター
・やかん
・(4100ml/94℃のお湯を用意)
・コーヒー豆(246g/中細挽き) ※コーヒーとお湯の比率=1:16.6
※コーヒー豆は重量の2倍の水を吸収する為、実際の出来あがりは3.6ℓ{4100-(246g×2)}=3600
・温度計
・V60 03 コーヒードリッパー(プラスチック製)とペーパー×3
・スプーン(撹拌用)
・サーモスの魔法瓶×3
オペレーション
1. IHヒーターにやかん(4.1ℓの水入り)をセットし、温かい状態(90℃くらい)でキープしておいてもらう(スタッフの方には大感謝です)
2. 温度を計測しながら調整し、94℃のタイミングであらかじめ挽いておいた浅煎りのコーヒー246gを入れる。
3. すべてのコーヒー粉が確実に濡れるようにスプーンで混ぜる。
4. タイマーをスタートし、4分待つ。
5. 4分経ったら、再びスプーンで撹拌し、V60 ドリッパーへ全ての抽出液を注ぎ入れる。
6. コーヒーを落としきって完成。全行程完了まで約10分。
そしてデザートのタイミングでコーヒー提供です。
以下のように説明をしました。
「今回用意したコーヒーは京都のSTYLE COFFEEさんの浅煎りのコーヒーで、ぼくが生活したオーストラリア・メルボルンでのコーヒー体験を思い出させてくれるような美味しいコーヒーです。
浅煎りは独特の風味や酸味、甘みがあるので、普段飲み慣れないと驚くかもしれませんが、デザートのケーキとよく合うので是非お楽しみください。」
そんなことを話している間に、
サービススタッフの方々が手際よくゲストへコーヒーを注いでくれました。
高砂から見える皆の笑顔に、めちゃくちゃホッとしました。
結論
やかんドリップ法は同時に、大量に、そして美味しく作るにはとても良い方法でした。
結婚式でコーヒーを淹れたことは、自分らしさが出せたことと、
「たしかに普段飲むコーヒーと全然違ったけど、めっちゃ美味しかったー!」
と嬉しいフィードバックを沢山もらえたので、
本当にやって良かったと感じています。
さらに、「美味しかったので、 (今度予定している)自分の結婚式でもやってほしい!」と友人に言われ、
冗談かと思っていたら本当にやることになり、後日90名規模の結婚式で6.5ℓのコーヒーを振舞いました。
(しかも披露宴会場で)
自分の式のときよりも30名さらに多かったので、用意できるか、やや不安でしたが、
結果的に、そのコーヒー提供も大成功し、
依頼してくれた新郎新婦もゲストもとても喜んでくれました。
また、その式ではコーヒー好きの新婦の希望により、
ぼくがチョイスした深煎りのコーヒーを用意しました。
個人的に、日本で一番美味しい深煎りを焼いていると思ってるKuromimi Lapinさんのコーヒーです。
深煎り好きの方はぜひ、試してみてくださいね。
やかん抽出は、電源などが使えないイベントやキャンプ等でも使える方法だと思います。
参考にしていただければ幸いです。
また、美味しいコーヒーのレシピの組み方は、この記事読むとわかるように書いてます。
やかん抽出で使ったアイテムとか